Q 企業型DCおよびiDeCoの加入者等が亡くなった場合、積み立てたお金はどうなりますか?
A 遺族が所定の手続きを行うことで、「死亡一時金」として受け取ることができます。
運営管理機関への給付申請を怠ると、受け取れない恐れも
DCに資産がある状態で加入者ならびに運用指図者(「加入者等」という)が亡くなった場合、その運用資産は「死亡一時金」として一括で遺族に給付されます。ただし、自動的に支払われるわけではなく、遺族が自ら給付の申請(裁定請求)を行う必要があります。
企業型DCでもiDeCoであっても、遺族が故人の加入していたDCの運営管理機関に死亡の旨を伝えます。必要な書類が届いたら、裁定請求書などを運営管理機関に提出するというのが基本的な手続きの流れです。給付が確定すると、DC資産は売却され、指定の口座に振り込まれます。
ここで注意したいのは、請求する時期によって税金の区分が異なること、そして長期間請求せずに放置すると受給権を失う恐れがあることです。
まず、死亡後3年以内に給付が確定した場合、相続税の対象となり、「みなし相続財産(民法上は相続財産ではないものの、相続税法上、被相続人が亡くなったことをきっかけとして受け取る財産)」として取り扱われます。相続税の課税対象になりますが、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設定されているので、この範囲内であれば税金がかからずに受け取れます。
一方、死亡から3年を超えると、死亡一時金は受取人となる遺族の「一時所得」として所得税の課税対象になり、相続税の非課税枠は利用できなくなります。
また、死亡から5年を経過しても請求がなければ、死亡一時金を受け取り可能な遺族がいないものとみなされ、DCの死亡一時金としては受給できなくなります。死亡一時金は故人の「相続財産」となり、確定拠出年金法が定める独自の受取人順位や「相続放棄をしていても受け取れる」といった特徴が失われることになるのです。
その後も請求がない場合は法務局に供託されます。さらに、長期間放置すると最終的に国庫に帰属する可能性があります。
図1 請求時期で変わる死亡一時金の扱い

こうした税制上の取り扱いや請求期限を踏まえると、なるべく早めに給付申請を行うことが大切だと分かります。問題は、遺族が「故人がDCに加入していたこと自体」を把握していないパターンです。
とりわけ、個人で加入・管理するiDeCoの場合、家族が加入の事実に気づきにくい側面があります。通知書類やログイン情報の保管場所が本人しか分からない状況では、死亡後に遺族が制度の存在を認識できず、請求が遅れてしまう恐れがあります。
企業型DCでも、会社を退職した後で、老齢給付金をまだ受け取っていない場合など、遺族がDC資産の存在に気づきにくいケースもあるでしょう。
こうした事態を防ぐために、まずはDCに加入していることを家族に伝え、加入している運営管理機関名や加入者番号または加入者口座番号などを共有しておくことが大切です。
図2 万が一の際に備えてやっておきたいこと

なお、死亡一時金は加入者が事前に受取人の指定をすることも可能です。資産を渡したい家族がいる場合は、受取人を指定しておくとよいでしょう。

DC法上の死亡一時金の受け取りは、戸籍上の家族を重視する民法の相続とは異なり、生計維持の関係がある事実上の家族が優先されるよ。